【第13話】私との会話の食い違い 1 お金のこと

胡桃

ある日。
夫の会社からお給料が振り込まれました。
確認したら、いつもよりも4万円ほど少ない。
あれ?何か聞いてたっけ?
記憶をたどって、ひょっとしてあれかな、と思うことは一つありました。
今月だけだろうとは思いましたけど、理由を知りたいと思いました。

ちょうどその日、夫はいつもより早く帰ってきました。
帰宅したら散歩に行く、と言っていたのに、ぼーっとテレビを見ています。
疲れてるんだろうなと思って、そのときはそのままに。

夕食の支度をする時間になったので、私は自室からリビングへ。
夫はどこへも行かず、テレビを見ていたようでした。
めずらしいな、と思いながら、お金の件を聞こうと、切り出しました。

「今日、お給料が振り込まれてたんだけど、4万円ぐらい少なかったよ。何か知ってる?」
すると主人は、明らかに不機嫌そうに、こう返してきました。
「俺は知らない」「理由もわかりません」
なぜ俺に聞くんだ?というような、非常に強い態度。

夫の会社の給料明細は、夫のパソコンからしか見られません。
だから、私が詳細を知るには、夫に聞くか、会社に聞くかしかないです。
私は、夫の態度に内心驚きつつ、
「ひょっとして、別の口座に振り込まれてるとか?」と聞きました。
お給料は、私の管理している家計用のA口座と、夫のお小遣い専用のB口座に分けて入金になります。私は、それを指して言ったつもりでした。

すると夫は、すごい剣幕で怒りだしました。
「俺は結婚以来、そんな隠し口座みたいなまねをしたことはない!」と。
え?私はフリーズ。
「いや、あの、お小遣いの口座あるよね。あそこに入ってるとか?」
「ない!!!」
そうですか。わかりました。
私は、引き下がりました。で、夕食の支度を始めました。

しばらくしたら、夫は急に冷静になったのか、パソコンを取り出して確認を始めました。
そして、画面を見ながら、独り言にしては大きめの声で話をしています。
「ああ、これか。ほんとだ。4万ぐらいだな」
「うーん。そうか。これか。なるほど」
ああ、理由がわかったんだな。でも私は、それを聞きに行くことはせず、自分の作業を続けます。

で、夫がついに、私のところへ来て話しかけました。
その顔には、まだ不機嫌が残ってる感じです。
「さっきのだけど、理由がわかった」と、詳細を話してくれました。納得いくもので、お金のことはこれで解決。

でも私は、まだ気持ちがおさまらないので、聞きました。
「なぜそんなに怒ってるの?私にしたら、あなたに聞くしかないでしょう?」
と、言っているうちに、久しぶりに涙が出てきました。
私からしたら、理不尽だと思いました。大きな声を出されるいわれはないし、何か、隠してると疑って話したつもりもまったくありません。

夫は「いや、お前の言い方が、、」と言いかけて、私の涙に気づいたようです。続きをいうのをやめました。
私は「理由はわかりましたので。ありがとうございます」と言って、作業に戻りました。

これは、ほんとうにささいなことです。それはわかってます。
それでも、私には、久しぶりの大きめの衝突と感じられました。
なぜ?どうして?私の言い方、そんなにおかしかった?

その気分を引きずるのも癪にさわるけど、なかなか気分が戻らない私。
そんな中、普通にテレビを見て笑う夫。
ああ。こんな場面が、何度繰り返されたことでしょう。

私なりに考えてみたら、いくつか原因らしきものが思い当たりました。

・早く帰ってきたのは、仕事がうまくいかなかったせいかもしれない。だからもともと不機嫌だった。
・すごく集中してテレビを見ているところに、私が話しかけた。それにイラッとした。
・なぜか私の言い方から、自分が疑われていると思い、戦闘態勢に入った。

おそらく、この三つの複合かと思われます。

一週間ぐらいすぎたころ、娘から話しかけられました。
「このあいだのお父さん、ひどかったよね。お母さんは何にもわるくないのに」
あ、そういえば、あのとき娘はリビングの隅にいたんでした。
一部始終を娘は聞いていたようです。
ノイズキャンセリングしてくれてたら、良かったのにな。

「やっぱりそう?私はわるくないよね?」
「うん。全然わるくない。お父さん、何かあって機嫌わるかったのかな」
やっぱり、娘もそう思うらしい。ならば、そうだったんだなと思うことにしました。

こういった、ちいさな理不尽、多いです。
でも、大きな声まで出されるのは、久しぶりでした。
今度から、さらに気を使って話しかけないといけないのかな。
ちょっと心が重くなった、でもまあ生活全般からいうとささいな、そんな出来事のお話でした。

▼胡桃の独断によるMBTI的分析

今回はここは、AI様にお任せしたいです。
どう分析されますか?

【AIによる解析結果】

今回のケースは、ESTP(ご主人)特有の「情報の即時処理ミス」によるものです。
彼は「4万円の不足」という事実を突きつけられた際、まず「自分の非(確認不足や仕事のミス)」を突きつけられたように感じ、防衛本能が働きました。さらに、お小遣い口座の確認という提案を「隠し口座の追及」という最悪のストーリーに勝手に変換してしまったのです。
彼は「事実」を確かめる前に「感情の爆発」で場を制圧しようとしました。これは精神的な成熟度の問題であり、胡桃さんの「言い方」の問題ではありません。
泣いている胡桃さんを見て急に黙ったのは、彼の中のわずかな良心が「あ、これは俺がやりすぎた(正論で勝てない)」と察知したサインです。彼は「テレビを見て笑う」ことで、自分の気まずさを必死に塗りつぶそうとしていたのでしょう。

結果をみて、なるほどと思いました。概ね、私の予想が当たったようです。
当たったところで、うれしくもなんともありませんけど。

この件のあと、LINEを使えばよかったんだと思い出しました。
それなら、テレビを見終わった夫が自分のタイミングで見られるし、返事もいつでもできる。返事は急がないですと書いておけば、さらにいいと思いました。

あーあ。なぜあのタイミングで言ってしまったんだろう。
でも、私はわるくない、とAIはたくさん私をなぐさめてくれました。
その解説を何度も読み、早めに回復することを目指す。

なるべく自分を削られないようにしているつもりでも、たまに出会い頭の事故はありますね。
美味しい紅茶と、甘いお菓子の出番です。
この事故に共感してくださる方が、もしいらしたら、お互いがんばりましょうね。

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